インシュリン抵抗とは何でしょう?検査や改善方法は?

インシュリン抵抗とは何でしょう?検査や改善方法は?

インシュリン抵抗とは?/何が原因で起こる?

インシュリン抵抗とは、骨格筋・肝臓・脂肪組織に対するインシュリンの効果の出具合のことを意味しています。
インシュリン抵抗があるという場合、インシュリンが効きにくくなっている状態を意味しており、これはインシュリンの感受性が低下していると表現されることもあります。

このインシュリン抵抗が増加すると、骨格筋・肝臓・脂肪組織で糖が吸収されにくくなり、肝臓での糖の酸性に歯止めがきかなくなるため血糖値が低下しにくくなります。
そうなると、血糖を正常な数値に調整するため大量のインシュリンが必要になりますが、インシュリン抵抗がある状態が改善されないままだと、インスリンを酸性しているすい臓が上手く機能しなくなって血糖値の上昇を招くほか、2型糖尿病を発症する引き金にもなってしまうのです。

問題はどうしてインシュリン抵抗が起こるのかということですが、この原因としては複数の要素が関係しているといわれています。
まず、代表的な原因のひとつとして肥満を挙げることができます。
ほかには運動不足もインシュリン抵抗の一因となり、体を動かす習慣がないと余計に肥満がひどくなってしまいますし、毛細血管の血のめぐりが悪くなって骨格筋でのインシュリン抵抗の増加を助長してしまうのです。

原因は上述した肥満や運動不足以外にもあり、ストレスや年齢の高まり、薬剤、糖毒性、遊離脂肪酸増加も挙げられます。
これらはすべて後天的な原因ですが、先天的な問題が原因になることもあるという見方がされています。
ただ、後天的な原因や先天的な原因に関してはいずれも完全に解明されているわけではなく、現状においては「考えられている」に過ぎません。

なお、インシュリン抵抗があると2型糖尿病を発病する原因になると述べましたが、インシュリン抵抗の有無だけで糖尿病が引き起こされるかどうかを決めつけることはできません。
実際、インシュリン抵抗がない人でも2型糖尿病にかかっている人は少なくないのです。

インシュリン抵抗の有無はどのようにして調べる?/検査と数値

インシュリン抵抗があるかどうか確かめるための検査法は複数ありますが、その中でももっとも身近なものとしてはインスリン抵抗性指数(HOMA-R=ホーマーアール)を調べる検査を挙げることができます。
ほかの検査法と比較すると正確さで劣っているものの、時間や手間、費用がかからない指標ということで用いられるケースが多く、一般的な病院や外来でもおこなうことが可能な点が大きな特徴です。

HOMA-Rの検査では、空腹時血糖と空腹時インスリンの数値を使ってインシュリン抵抗の有無を調べます。
算出法を以下に記しますので、参考情報としてチェックしておいてください。

・インスリン抵抗性指数(HOMA-R)の求め方
空腹時血糖(mg/dL)×空腹時インスリン(μU/mL)÷405
※計算式の()内は単位

上の計算結果として出た数値が高ければ高いほど、インシュリン抵抗があるだけでなく、高い抵抗性をもっているという見方がされます。
なお、どこまでが正常でどこからが異常なのか、基準となる数値が気になるという人は多いのではないでしょうか。

まず正常な範囲ですが、算出された数値が1~1.6であればインシュリン抵抗はないと判断されます。
一方、数値が2.5以上を示していた場合、インシュリン抵抗あり、増加していると判断されることになります。
ただ、この基準値には例外があり、既に糖尿病が悪化していてインシュリンの産生量が少なくなってきている状態では、HDMA-Rは指標として役に立ちません。

そのほか、インスリン抵抗性指数を調べる検査は、だれもが受けられるわけではないという点に注意が必要です。
糖尿病のおもな治療方法には食事療法、運動療法、薬物療法がありますが、この中の薬物療法の一種であるインスリン治療を受けている人は、HDMA-Rの検査を受けることができません。

また、HDMA-Rの検査以外の指標としては、メタボリックシンドロームに関するものもあります。
高トリグリセリド血症、高血圧、内臓脂肪型肥満、低HDL血症がある人の場合、インシュリン抵抗がある割合が高いとされています。

インシュリン抵抗の改善方法は?/治療方法はある?効く薬は?

インシュリン低下の増加を防いだり、状態を改善したりする方法は複数あります。

まず、原因として挙げられているものを排除していくことで、インシュリン抵抗の増加防止や状態改善効果が見込めます。
一番の原因とされている肥満に関してはダイエットが有効ですし、内臓型肥満の内臓脂肪がなくなることで、インシュリンの作用を阻害する物質の減少にもつながるのです。

また、ダイエットでは運動をするのが効果的です。
というのも、インシュリン抵抗の主要な原因である肥満解消にもいいですし、運動不足自体もインシュリン抵抗の一因になるため、体を動かしたほうがいいのです。
さらに運動を習慣化していると筋肉の中に存在するインシュリン受容体の数が多くなり、インシュリンの作用が促されるといわれています。

肥満や運動不足の解消は日常的に取り組めることですので、生活習慣の見直しをして、インシュリン抵抗対策をしましょう。

次に、日常生活でおこなえる対策以外に関する話をしていきますが、薬によるインシュリン抵抗の改善方法もあります。
おもなものとしてはインシュリン抵抗性改善薬やビグアナイド薬と呼ばれるものが挙げられます。
まず両者に共通しているのは、肥満などによりインシュリンの感受性が低下している人に対して使用する形になるのが普通だという点です。

その上で個々の特徴を挙げていきますが、インシュリン抵抗性改善薬、これは名称のままですのでどのような薬なのかイメージしやすいのではないでしょうか。
インシュリン抵抗性改善薬は、肝臓や筋肉における糖吸収を促進し、文字通りインシュリンの抵抗を改善してくれるものです。

次にビグアナイド薬ですが、これも肝臓や筋肉におけるインシュリンの感受性を高めるものです。
ただ、肝臓で糖が産生されて血中へと移動や消化管における糖の取り込みを抑制したりするという点で、インシュリン抵抗性改善薬とは作用のしかたが異なります。

なお、インシュリン抵抗性改善薬には浮腫や低血糖など、ビグアナイド薬には乳酸アシドーシスや低血糖といった副作用が起こるリスクがあります。

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